ザボンの花

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桜と金魚。

さて、先日アマゾンで買った二冊の本がある。
庄野潤三作「ザボンの花」「夕べの雲」。
ダカフェ日記が大好きなのは前にも書いたけれど、
この2冊の小説は私にとって「元祖・ダカフェ日記」的な存在なのだ。
初めて読んだのは、多分小学生の頃。
父親が持っていた「ザボンの花」の第一版(昭和40年代出版!)を
貸してもらったのがきっかけだったか。

周りに何もない一軒家に住む家族の話。すごい事件も、どんでん返しも、ない。
移りゆく季節の楽しさと食べ物、近所の友達、平凡に過ぎて行く家族の風景。
お金の価値観が100円=今の千円ぐらい?の昔の話だけど、
日々大切なことは今とそう変わらない。

ヤドカリを買ってきてみんなで名前をつける。
山芋のおいしい食べ方を聞いてきて、夫婦で想像して作ってみたくなる。
ホタルを捕りに行ったことを思い出す。
遠くの友達から手紙が来る。
家にいる犬が自分のしっぽをおいかけてぐるぐる回っている。
伯父さんが訪ねてきてライラックを植えてくれる。
そんな日々。

作者があとがきで「夕べの雲という題をつけた理由」として、
「題名を考えながら屋根の上で夕暮れの空を見ていた。
見ている先からどんどん空が変化していく。
まったく変わらなそうで、次の瞬間にはもうなくなっていくもの、
そんなものを書きたくて『夕べの雲』という題にした」と言っていて
ダカフェ日記もそうだし、この小説も、
私もいつも考えている「平凡な日々にこそ、幸せがある」ってことを
しみじみと感じさせてくれる作品。

作者の庄野潤三さんは少し前に亡くなり、久々に読みたいなーと思ってて購入。
オススメなんですが「ザボンの花」は文庫は廃盤になっていて
復刻版をようやくアマゾンで発見!って感じの状態デシタ。。


日の暮れかかる頃に杉林のある谷間で安雄と正次郎の声が聞こえて来る。
「もう夕御飯なのにいつまで遊んでいる気だ」と腹を立てながら、
大浦は二人を呼びに行く。そんな時、彼はつい立ち止って、景色に見入った。
「ここにこんな谷間があって、日の暮れかかる頃にいつまでも子供たちが帰らないで
声ばかり聞こえて来たことを、先でどんな風に思い出すだろうか」
すると、彼の眼の前で暗くなりかけてゆく谷間がいったい現実のものなのか、
もうこの世には無いものを思い出そうとした時に彼の心に浮ぶ幻の景色なのか、
分らなくなるのであった。(「夕べの雲」より)

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by jazzmoca | 2010-04-05 07:50 | 日記


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